Wolfgang Tillmans: Nothing Could Have Prepared Us – Everything Could Have Prepared Us
現代美術界で重要な賞の一つである「ターナー賞」を2000年に受賞し、ロンドンとドイツを拠点として活動するドイツ人写真家、ヴォルフガング・ティルマンス(Wolfgang Tillmans)の作品集。2025年6月から9月にかけて、「ジョルジュ・ポンピドゥー国立芸術文化センター(Centre national d’art et de culture Georges Pompidou (CNAC-GP)、以下ポンピドゥー・センター)」で開催する展覧会に伴い刊行されました。
「プリツカー賞」受賞建築家であるレンゾ・ピアノ(Renzo Piano)とリチャード・ロジャース(Richard Rogers)が設計したことで知られるパリの文化施設「ポンピドゥー・センター」は、2025年9月末より、改修工事に伴い5年間閉館します。本展は、閉館前の最終プログラムとして企画されたものであり、同センターがこの展覧会の「カルトブランシュ(白紙委任 / 全権)」をティルマンスに与え、2階にある「公共情報図書館(La Bibliothèque publique d'information / BPI)」の約6,000m²全体を使用して作品を展覧し、ティルマンスの活動を振り返ります。図書館に設置された備品や設備、同館の音楽までをも巻き込みながら、写真、映像、音楽、テキストなどを用いて実験的にインスタレーション展開したこの展覧会は、空間を一変させながら、図書館という場所や機能との対話を生み、建築として、また知識を伝達してきた場として図書館という存在を問います。本展は、多岐にわたるジャンルの写真表現を通して、35年以上にわたるティルマンスの創作の軌跡を辿り、図書館という空間に呼応して「秩序」そして「論理」が活性化した中でティルマンスの私的な「宇宙」が展開され、極めて特別な、もう一つ別の表現によって構成されています。
本書は、このユニークなプロジェクトの道筋を追います。展覧会風景の写真を多数収録しており、ティルマンスがこの場所で作品を展覧することで、いかにして空間を自身のものとしたかが示され、作品そのものの図版とそれとが交互に交わるように掲載されています。また、若い世代の作家陣がエッセイを寄稿し、作品の様々な側面に新たな光を当てています。
同センター写真部門のチーフキュレーターであるフロリアン・エブナー(Florian Ebner)、アシスタントキュレーターであり現代写真を専門とするオルガ・フリドリサック=レタ(Olga Frydryszak-Rétat)による編集。
本展は、ファッションブランドである「セリーヌ(CELINE)」のパートナーシップにより、特定の日に入場無料で一般公開する試み「ACCÈS LIBRE par CELINE」も実施されています。
ページ: 272
サイズ: 220 x 280 mm
フォーマット: ソフトカバー
言語: 英語
刊行年: 2025
出版: Spector Books, Centre Pompidou
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