Carla Rossi: Bellissima

パリを拠点に活動するイタリア人ビジュアルアーティスト、カーラ・ロッシ（Carla Rossi）の作品集。「美しさ」とは、誰にとっての「美しさ」なのか。ロッシの視点を通して見ると、美は固定観念ではなく、他者の視線に応じて形作られ、繰り返され、洗練されていくパフォーマンスとして現れます。

本書でロッシは、「ミス・イタリア」選考中に出会った若い出場者、レベッカ（Rebecca）を撮影し、キャスティングから全国オーディションまでの軌跡を追い、壮観と競争、限定的に定義された女性像を絶え間なく追い求めるシステムの実態を明らかにしています。

写真群は、まるで振り付けられたシークエンスのように構成され、フレームは反復や緊張、遮断が交錯する舞台となり、腰に添えられた手、作り笑い、横目で見つめる視線といった一つ一つの身振りが、イタリア的な煌びやかなショーや商業的スペクタクル、ファッションの視覚的文法を映し出します。それらの動作は自然発生的なものではなく、長年にわたり他者の演技を見続けることで身につけられたものです。

ロッシは、「ミス・イタリア」の放送映像をピクセル化したアーカイブ素材と自身が演出したポートレートを対置させることで、「美」がどのようにして作られるのかを検証しています。いまなお男性中心的な理想に形づくられた視覚文化の中で、本書は「美」を静的な結果ではなく、自分を可視化し、演出し、自己を再構築するプロセスとして描き出します。そこにある価値は、誰かが見続けている限りにおいてのみ、存在し続けします。

ページ: 160
サイズ: 190 x 260 mm
フォーマット: ハードカバー
刊行年: 2025
出版: Art Paper Editions