Sonor (CD)

夕暮れ時、ほんの一瞬だけ、空は鮮やかな琥珀色に染まります。劇的に広がるその色彩は、昼と夜の両方が織りなす瞬間。この鮮やかで儚い世界の中で、モンゴル生まれ・ミュンヘン在住のEnjiは新しいアルバム『Sonor』を書き上げました。

『Sonor』は、Enji自身の歩みと、二つの世界の間で生きることに伴う複雑な感情を映し出しています。本作のテーマは、文化の狭間で生きることの曖昧な感覚。それは葛藤の源ではなく、成長と自己発見のための場として描かれています。彼女は、伝統的なモンゴルのルーツから距離を置くことが自身のアイデンティティをどのように形づくったのか、そして故郷へ帰ることがこれらの変化への認識をいかに高めたかを探求しています。

ピアノのエリアス・シュテメゼダー（Elias Stemeseder）、ベースのロベルト・ラントフェルマン（Robert Landfermann）、ドラムのジュリアン・サルトリウス（Julian Sartorius）、そして共同作曲者でもあるギターのパウル・ブレンデル（Paul Brändle）といった名だたるジャズミュージシャンによるバンドに支えられ、Enjiは単に伝統を振り返るのではなく、遠くから眺めることで初めてその大切さが分かる小さな喜びを凝縮しています。

親が口ずさむ馴染み深い歌のように、彼女の音楽は、特定の場所に縛られるのではなく、私たちを形作る感情や記憶に結びつく帰属意識の本質を捉えている。

フォーマット: CD
リリース: 2025
レーベル: Squama Recordings