
Zé Studioは、ジョー・タージア(Joe Tarzia / JT)によるシドニー(オーストラリア)のデザインスタジオです。国際的に活躍するデザインスタジオとしてだけでなく、アートブックの出版社「Éditions」も運営しています。彼らが出版した書籍のひとつ、「Courts 02」についての話を伺いました。
NE:
「Courts 02」について教えてください。
JT:
「Courts 02」は、ニューヨークに拠点を置く芸術家、ワード・ロバーツ(Ward Roberts)が、香港、バミューダ諸島、ハワイ、ニューヨーク、メルボルンを飛び回って、スポーツのコートを記録する写真プロジェクトです。

NE:
どのような経緯で「Courts 02」を出版することになったのでしょう?
JT:
ワードは、親しい友人でスタジオの顧客でもあり、エディションズ(Éditions)を通じて彼の作品を出版する可能性について話し合いました。2016年の初め、香港でシリーズの撮影中のワードは、我々が夢中になった 2012年の「Courts」の次のリリース作品を出版することに関心を示しました。

NE:
「Courts 02」のブックデザインはどのようなコンセプトで制作されたのでしょう?
JT:
我々が出版するものすべてにおいて、作品を具体的に表現することを目的としています。このシリーズでは、ワードの非常に直線的で色調を重視したミニマルな写真へのアプローチを参考にしており、薄いエンボス加工を施したグリッドの表紙でコンテクストを与えています。裏表紙には、ワードが独特なペイントさばきでサインを書けるようにデザインされたスペースがあります。


“独自の出版プラットフォームを立ち上げることは、自然な成り行きでした。”
NE:
シドニーの紀伊国屋書店で行なわれた展覧会はどうでしたか?
JT:
展覧会はニューヨークのソーホーハウス(Soho House)とカルバーシティのアルカナブックス(Arcana Books)で出版記念イベントを行った後の、最終的な出版記念イベントでした。紀伊国屋書店での展覧会は、作品を地元に持ち帰り、友人やワードの世界に魅了された人々とともに作品を楽しむ最高の機会となりました。

NE:
自身のデザインスタジオだけでなく、なぜÉditionsも設立されたのでしょう?
JT:
独自の出版プラットフォームを立ち上げることは、スタジオの仲間とコラボレーションを行い、私たち独自のプランを進めていくためにも、そして、デザインのプロセスをコントロールし、信頼関係のあるアーティストにお金を投資するためにも、自然な成り行きでした。出版は通常、非常に相互的な関係性のもとで行われ、お互いの仕事との関係や気遣い、そして共感が非常に重要となります。とても個人的なことであり、簡単には定義することはできません。

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