
Antwerp Artは、定評のあるギャラリーや博物館から今後の構想まで、アントワープの現代アートシーンで最も影響力のある人たちをつなげる団体です。毎年Antwerp Art Weekendを開催しています。Antwerp Art Weekendは、エキサイティングなプログラムやトークセッション、パフォーマンス、本の紹介、パーティーといったイベントが週末に実施されます。実際に、開催される週末のアントワープはアートシーンで溢れかえることとなります。

Antwerp Artと仕事をするのは3年目になります。第1回のAntwerp Art Weekendを担当したのが始まりでした。その後、徐々に彼らのビジュアルコミュニケーションすべてと新しいビジュアルアイデンティティも担当するようになりました。最初の年はAntwerp Art Weekendのために新しいデザインを依頼されただけでしたが、彼らのビジュアルコミュニケーションにある程度、一貫性を持たせたいと考えていたため、1つのイベントだけでなく、より長期的に使えるシステムを構築し始めました。結果として、それが彼らの新しいアイデンティティとなったのです。
ヘルベチカやタイムズのようなニュートラルな書体を使ってアイデンティティを作りたいと思っていました(すべてのアート団体のためのニュートラルなプラットフォームを作り出すことが重要だと感じていたのです)。そのおかげで、街中でデザインがしっかりと際立つように、大胆で鮮やかな色を組み合わせる余地が生まれました。色に関しては、毎年違う色を使用するという考えが背景にあります。


毎年、Antwerp Artのメンバーは、Antwerp Art indexと呼ばれるマップにまとめられます。このマップをベースに、構造のアイデアが生まれました。ビジュアルアイデンティティは、AA(Antwerp Art)とAAW(Antwerp Art Weekend)という言葉を構成するダイナミックな線に基づいています。この線は様々なアイテムを通して様々なバリエーションで使用されています。そのため、アイデンティティは非常に動的なものとなりますが、同時にとても認識しやすいものとなります。一般的な原則である静的なロゴだけでなく、ダイナミックなシステムを作りたいと思っていました。組織というよりもプラットフォームになるものを目指していました。友人のベニー(Benny Van den Meulengracht-Vrancx)がAntwerp Artを共同運営しています。一緒に勉強した仲で、お互いをよく知っています。彼は私たちの判断を信頼してくれているので、一緒に働くことがとても楽しいです。数年にわたって取り組んできた仕事で(そしてもっと続くことを願っていますが)、毎回デザインを再考する機会を与えてくれますが、アイデンティティとしての枠組みは維持するようにしているという点で興味深いプロジェクトです。
ポスターはイベントの2週間前にベルギー全土で掲示されるので、ビジュアルコミュニケーションの非常に重要なパートを担います。できるだけ公共スペースで目立つようにしたいので、メッセージが明確に伝わるように、内容はできるだけ少なくします。ポスターに掲載されるのは「Antwerp Art Weekend」という言葉と週末の日付のみです。そしてポスターはA0サイズにすることができました。これはアントワープでは簡単なことではありませんでした。


Antwerp ArtのWebサイトについては、マティアス・デッキ(Matthias Deckx)とベニー(Benny / 前述のAntwerp Artの主催者)と共同で作業しました。マティアスはフロントエンドの開発者およびデザイナーで、よく一緒に作業しています。彼はデザインに関して鋭い感性を持っているので、良いチームが築けています。マティアスとベニーとは常に緊密なコラボレーションができていたため、継続的にWebサイト制作を続けることができました。難しかったのは、非常にミニマルなデザインをうまく機能させながらもユーザーフレンドリーな形でWebサイト上に再現することでした。