
私は、ニューヨークを拠点にタイプデザイナーをしています。専門は、カスタムレターフォーム、ブランド用のタイポグラフィ、そしてロゴタイプの漢字レタリングです。台北で育ち、デザインを学びにニューヨークに来ました。何年かブランディングを手がけるエージェンシーで働き、その後独立して今に至ります。
ブランディングエージェンシーのデザイナーを務める中で、主にロゴタイプのデザインを行いましたが、タイポグラフィに関する知識が十分ではないと気づいたので、書体に特化した学校(The Cooper UnionのType@Cooper)に行きました。日中フルタイムで働きながら、書体デザインを学びました。

数年前に始めたプロジェクトです。アジアとアメリカを頻繁に行き来する中で、ブランドアイデンティティの多くは上手く視覚的に翻訳できていないことに気づきました。そのため、ラテン文字と漢字の間で視覚的な一貫性を持たせ、ワードマークとして用いる個人的な研究を始めました。50の組み合わせを完成させたあと、そのプロセスをまとめてエッセイにしました。実例と記事はBilingualLettering.comにまとめてあります。

『Ribaasu』は、コントラストを反転させた書体で、ラテン文字、漢字、そして仮名を一度にデザインしました。これらの文字体系の全てに適用できるルールを作成しました。
ラテン文字の書体でコントラストを反転させると、通常のウェイト(文字の太さ)の分布が逆転します。その結果、キャップハイト、エックスハイト、そしてベースラインにウェイトが集中することで、水平方向のつながりを強く感じさせる視覚的効果が生まれます。ラテン文字とは異なり、漢字と仮名のウェイトの分布はもっと複雑で、縦向きの字画だけでもありません。多くの字画は斜めだったり曲がっていたりします。そのため、異なる字画それぞれにおいて、ウェイトの分布も異なってくるのです。単純にウェイトの分布を反転させるだけでは、ラテン文字で得られるような視覚的効果が得られるとは限りません。ウェイトをそのまま反転させるのではなく、私はコントラストを反転させたラテン文字の視覚的な本質を捉えた書体を作るというアプローチを選択しました。独特の個性があり水平方向のつながりを強く感じさせるような本質を捉えれば、ラテン文字もそれ以外も視覚的に一貫性のある形で並存させられると考えたのです。



場合によります。以前に制作したレタリング作品をもとに書体を作り始めることもあります。計画的に作ることもあれば、スケッチしながら方向性を探っていくこともあります。多くの場合、最も関心のあるいくつかの文字を足がかりにして、そこから体系的な規則を考え、すべての文字形式に適用していきます。
現在、『Min Sans』という書体を制作中です。ハイコントラストのサンセリフ体で、タイトルやヘッドライン用のものです。レギュラーとボールドはFutureFontsで公開しました。現在、イタリックとボールドイタリックを制作中で、もうすぐ公開できればと思っています。
